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キリンホールディングスは4日、8月に買収したブラジルのビール・清涼飲料大手、スキンカリオール・グループを完全子会社化したと発表した。発行済み株式の50.45%を取得した後、買収の無効を求める少数株主との法廷闘争を余儀なくされていたが、全株取得によってキリンの意向が経営に全面的に反映できるようになった。ただ、財務状況は悪化し、大型のM&A(企業の合併・買収)が実施しにくくなるのは必至。当面は既存事業の強化に力を注ぐことになりそうだ。
キリンは同日、創業家の一部親族から発行済み株式の49.55%を23.5億レアル(約1050億円)で取得。総額で3000億円の大型買収となった。会見した小林弘武常務は「ブラジル市場の成長性は高く、妥当な価格」と強調した。
ただ、現在の最終利益などから、何年で投資を回収できるかを示した倍率は13倍と高い水準にあり、買収後の収益力アップが課題となる。
スキンカリオールをめぐっては、キリンの買収直後、少数株主が申請した仮処分が一部認められ、キリンは獲得した権利を行使できなかった。10月に仮処分は取り消されたが、本訴は残っており、先行きは不透明だった。8月以降、同社の株価は軟調で、ムーディーズ・ジャパンは10月、長期発行体格付けなどをA2からA3に引き下げた。
キリンによると、全株取得で訴訟は取り下げられる。小林常務は「自由度の高い経営を進めていけるようになった」と述べた。
キリンがブラジルへの本格進出を決めた背景には、市場規模と成長性がある。2010年のビール消費量は1260万キロリットルで中国、米国に続く世界3位。15年まで10%程度の成長率が続くとみられ、同国でビール2位のスキンカリオールは、市場拡大の恩恵を受けられると判断した。
ただ、追加出資により、資本に対する負債の大きさを示すD/Eレシオは現在の0.99倍から年末に最大で1.10倍に悪化。15年までの中期経営計画での目標は0.5倍だ。完全子会社についてキリンは「当初から選択肢の一つだった」(小林常務)とするが、少数株主と融和しながらの経営を模索していただけに、追加出資は財務状況に重くのしかかる。
財務状況の悪化などを受け、小林常務は「大きなM&Aは現時点では厳しい」と述べた。(高橋寛次)
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枝野幸男経済産業相は4日、東京電力と原子力損害賠償支援機構が提出した「緊急特別事業計画」を認定、福島第1原発事故の賠償資金として要請を受けた1兆109億800万円の公的資金を東電に投入することを決めた。支援で債務超過を回避した東電は同日、これまで「未定」としていた2012年3月期の連結最終損益が6000億円の赤字(前期は1兆2473億円の赤字)となる見通しを公表した。
支援額は、原子力損害賠償法に基づく政府補償分1200億円を差し引くと約9000億円。枝野経産相は同日、機構の下河辺和彦運営委員長、杉山武彦理事長、東電の西沢俊夫社長を呼び「国民から巨額の資金を預かるので、親身、親切な賠償と徹底した合理化を」と要請した。
今回の支援額は、現時点で見積もり可能な賠償資金。今後政府が指針を示す除染や自主避難などの賠償範囲拡大とともに必要額は増える。東電と機構は、来春に策定する経営責任や料金の見直しを盛り込んだ「総合特別事業計画」で、追加支援を要請する。
特別事業計画は、東電が賠償費用を捻出するため、今後10年間で2兆5000億円超の経費を削減することが柱。今年度は、人件費や調達比の見直しで2372億円の経費削減を盛り込んだ。
また、東電と機構はコスト削減を確実に推進するため、11月中にアクションプランをまとめる。双方の首脳が参加する「経営改革委員会」を設置し、合理化作業の進捗(しんちょく)状況を確認。実務担当者がそれぞれ20人程度参加する作業部会を置き、機構職員を東電内に常駐させる。
一方、東電は同日、原発停止による代替火力燃料費などで12年3月期業績について連結経常損益が4000億円の赤字になると予想。追加の事故対応費計上などで、最終赤字は6000億円を見込んだ。同時に発表した11年9月中間連結決算は、節電などの影響で売上高が前年同期比7.7%減の2兆5027億円、最終損益は過去最悪となる6272億円の赤字(前年同期は922億円の黒字)に転落した。
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